谷川 東黒沢~ウツボギ沢~白毛門 癒しの沢と山の旅

9/14(土)~15(日)で谷川の湯檜曽川・東黒沢~ウツボギ沢~白毛門を登った。

 

メンバーはかみさん。

 

東黒沢 ハナゲノ滝

もともとは美しいナメが多く、遡行が比較的容易な東黒沢だけを登って同ルート下降する日帰りプランであった。

 

しかし、せっかくなら1泊計画にした方が沢旅を堪能できるだろうと考えなおし、好幕営地があるウツボギ沢を絡めたスタンダードな計画として実施することにした。

天気もさることながら、人気の初心者向けの沢とあって大勢の人出とそれに伴う天場の確保が心配だった。

 

適度なナメ滝がすぐに始まる

8時頃に谷川岳インフォメーションセンター前駐車場発。

 

当初、白毛門登山口の駐車場は送電線の鉄塔工事に伴い使用できないとの情報があったため少し離れた駐車場に停めたのだが、行ってみると何の制限もなく使用できるようだった。

 

それにしても、駐車している台数は10数台ぐらいで思ったより多くない。

8時15分頃に入渓。

 

ハナゲノ滝にて

30分とかからずにハナゲノ滝に達する。

水量はそれほど多くはなさそうだ。

 

ハナゲノ滝は右岸側を登る

ハナゲノ滝はずっと昔に白毛門沢に行ったときに通っているはずだが、全く記憶にない。

 

思った以上に傾斜は緩く、これなら水遊びもできるかもしれないと思った。

 

ハナゲノ滝の上流部を横切るかみさん

ハナゲノ滝は中間部で右岸から巻けるようになっていたが、容易そうだったのでそのまま水流沿いに右岸を登った。

 

大岩を越えるかみさん

大岩のあたりの水量からすると、平水より少ないぐらいなのかもしれない。

天候は暑からず寒からずでまずまずといったところ。

 

白毛門沢との出合を右に進む

白毛門沢との出合は9時少し前頃だった。

この後も快適な小滝やナメ岩をたっぷり楽しむ。

 

釜をたたえた小滝が多い 7m滝

出てくる小滝はどれも登れるものばかり。

程よい手がかり、足がかりがある。

 

荷物があっても快適な登攀ができた

 

陽の光を浴び、美しくも快適なナメ岩が続く

 

周囲の森林が影を落として暑さを遮る

 

流路が細くなってきてもすばらしいナメが続く

川幅が狭まり、少しずつ源頭感が出てくる。

やがて水は消え、丸山乗越に至る。

 

丸山乗越付近は笹藪

いくらか踏み跡はあるが、地形図に応じて進んだ方が無難だ。

低木で平らな地形を越えたら、ウツボギ沢に至る枝沢をめざす。

 

枝沢の下降は少しだけいやらしいところも

特に難しいところはないが、少しいやらしい滝の下降が2~3箇所あった。

途中から枝沢が合わさり、水量が増える。

 

ウツボギ沢との出合

12時40分頃に出合着。

少しナルミズ川方面に下ると、広くて快適そうな広河原の天場に到着した。

 

この日の行動はここまで。

 

タープとテント型ツエルトを用いた

これまでの沢旅と違って、タープと軽量なドームテント型のツエルトを使ってみた。

居住性は良く、適応性も良好そうだった。

 

懸念していた天場争いは全くなく、自分たちが1番乗りで、しばらく後から2人組のもう一組がタープで幕を張っただけだった。

 

対岸にもう一組いたようだが、広河原に2組だけとはラッキーだったのだろう。

 

隣人に遠慮して河原で焚火

広河原は比較的広くて平らな好天場だが、それだけにゴミなどの問題が多いようだ。

この目で見たのは、ブルーシート2枚が遺棄されていたもの。

 

水場は目の前(ウツボギ沢右岸、ナルミズ沢出合手前)にあったのに気づかず、ウツボギ沢を数分遡行して左岸からの湧水をわざわざ汲んできた。

 

焚火は今回最大の楽しみでがっつり楽しんだ。

料理はかみさんが腕を振るってくれた御馳走だ。

 

沢のほとりで食べた御馳走

焚火の用意はのこぎりが大活躍した。

天気が崩れることもなく、静かな夜を迎えられた。

 

最高のディナーと焚火を楽しみ、大方の薪が燃えた21時頃ようやく眠りにつく。

 

4時に起床で、6時少し前に出発する。

 

ウツボギ沢の遡行開始

ウツボギ沢は始めのうちは河原、やがてゴルジュになって変化のある出だしであった。

通過には少し工夫が必要で、難しくはないが楽しい。

 

すぐにゴルジュ状になり、アクセントとなる

やがてくの字15mの滝に行きつく。

 

くの字(逆Y字?)15m滝

滝の右側に沿って中段まで登り、上段はそこから踏み跡があるルンゼ沿いに左岸から巻いた。

 

滝の右側に沿って登るかみさん

滝の落ち口付近に下りるところはギャップがあって、枝を掴みながらのずり落ちのていであった。

 

陽が溪にも差してくると気分は上がる

昨晩は星空で、午前中は快晴の勢いだが、山テンの天気予報によれば午後は霧から雷雨の予報。

 

ぐずぐずはしていられない。

 

陽の光を受け、小滝を登るかみさん

とはいえ、そんなにせっかちに登りたくもない。

 

楽しめるところは楽しんで登る。

 

ひとまたぎのトイ状の滝

難しいところはないが、ワンポイントはあったりする。

 

これは楽しい。

 

8時頃、主稜線付近が見えてくる

比較的平坦な地形だが、それが長く続く。

 

滑っていていやらしい小滝はあったが、何とかなった。

 

岩穴に身を潜めるガマガエル 周囲と同化している

基本ナメ場が続くが、樹高は低目で明るい雰囲気を醸し出している。

 

次第に沢は細くなる

この明るさも初級向けと言われる所以か。

 

源頭感漂うナメ

やがて水流も乏しくなり、詰めとなっていく。

適当なところで湧き水を汲み(これが冷たくて旨い)、藪に備える。

 

このままでも行けるが、正解は少し戻った左俣

自然な登路となっていたが、地形図と照らし合わすと少し違う。

このままいくと笠ヶ岳の斜面に突き上げてしまう。

 

偵察で戻ると、藪に埋もれた細めの左俣が細い水流とともにあった。

こちらが正解。

 

ナタ目があり、明らかな人跡があった。

こちらからだとちょうど鞍部に出るはず。

 

笹藪突入

笹藪でも溝になっているところは歩きやすかった。

それも最終パートにのし上がる頃には純然たる上越の笹藪となってきた。

 

喘ぎながらかき分ける。

地形を見ながらじりじりと鞍部をめざす。

 

登山道に出たところ

9時半過ぎ頃、ようやく登山道に出る。

それでも上越の藪としては短い方だと思う。

 

左俣から鞍部への経路に修正しなければ相当な無駄足をするところだった。

 

白毛門への登りの途中から鞍部や自分たちの詰めの路を振り返る

身支度を整え、下山の途につく。

 

しかし、下山なのになぜか登る。

白毛門へは登りとなる。

 

少しだけ見えた一ノ倉沢などの岩壁群

なんとか天気はもっていたが、霧が山肌を覆い始めていた。

雲の厚みからして、悪天の兆しは濃厚だった。

 

土合や自分たちが停めた駐車場が見えた

あまりのんびりすることなく、下山を急いだ。

景色は乏しかったが進路は十分に見えた。

 

白毛門山頂

霧が広がるのが早まってきた。

登山者は少なめだが、何人かはいた。

 

振り返るともう山頂直下の岩稜帯は見えなくなってきた

岩稜帯で雨に降られたくはない。

歩を早める。

 

ジジ岩のはるか下を白毛門沢を登る人が見えた。

あのパーティーは降られる前に抜けられただろうか?

 

ジジ岩、ババ岩はギリギリ見えた

この頃から遠くに雷鳴が聞こえだす。

予報通りだ。

 

鎖場が何カ所かあったが、設置が不適切

何カ所かの岩場に鎖やフィックスロープがかけられていたが、一般道なのに不親切なかけ方が目立ち、謎な気がした。

 

足場がある弱点を通してなかったり、長さが半端だったりと不適切といってもいい代物。

 

とはいえ、利用はさせてもらったので文句も言えまい。

 

松ノ木沢ノ頭に至る頃には岩稜帯は抜け、樹林帯に入ることができたようだった。

 

不思議な伸び方をした木の下で

それから間もなくして激しい雷鳴とともに強い降りの雨に捕まった。

それまでも降ったりやんだりしていたが、この雨にはたまらず雨具を着た。

 

側撃雷もあるから樹林帯でもうかうかはしていられない。

すれ違った登りの人たちは、この雷雨をやり過ごせたのだろうか?

 

休むことなく歩を進めるうちに、下山時から気になっていた右膝がずいぶん痛くなっていた。

 

傾斜は一本調子の急傾斜で、すこぶる足に悪そうだ。

 

概して登山道は土が流出して荒れており、木の根がむき出しになっているところも目立っていた。

 

それでも不思議な伸び方をした巨樹がそこここにあり、目を楽しませてくれたりもした。

もっとも、楽しむ余裕があったのはかみさんで、自分は必死だった。

 

今回もかみさんの活躍なしにはない山旅であった。

体力もすごい。

いつもながら、感謝に堪えない。

 

土合砂防堰堤・湯吹きの滝は濁流を轟音とともに落としていた

ようやく下山できたのは13時半頃。

インフォメーションセンター前駐車場まで少し登る。

 

湯檜曽川は茶色く濁った濁流と化していた。

そんな中でも東黒沢を川滑りしに行こうとする商業団体がいたことには驚いた。

 

少し先の湯檜曽公園あたりの河原では、30人が中州に取り残されレスキュー隊が多数出動している騒ぎが起こっていた。

 

それはそうとして、さっさと湯檜曽温泉に行く。

今回は岳人カードを使って400円で永楽荘の温泉に浸かる。

 

長らくこの界隈に通っていて、湯檜曽温泉は足湯を除いて初めての利用だった。

温泉から見えた湯檜曽川の濁流は激しいものであった。

 

永楽荘の人はこういう流れはここでは通常のことだと繰り返し言っていた。

河原の人たちも全員救助されたようでよかったが、この地の危険性を再認識させられた。

 

スタンダードな沢旅で、難しいところなく遡行を楽しめた。

運がよかったのか、予想以上にいろいろと楽しめた。

まあ行けてよかった。

 

それにしても膝の痛みはいつになったら癒えるだろうか。

ちょっと心配だ。