2021/12/28(火)~2022/01/04(火)で念願の紀伊半島クライミングツアー(2回目)に臨んだ。
メンバーはかみさん。
紀伊半島へのクライミングトリップは、2016年末~2017年始以来だ。
あれから開拓・公表された岩場も増え、ツアーするに足る質量となったところから、かねてから考えていた計画を実行することにした。
飛行時間はかみさんの職場に行くより短いらしい。
ただ、この日の南紀白浜は風もあり、どんよりとした空模様。
とはいえ、まずはニューいそぎの岩場へ。
南紀白浜空港から直行すると、数分であった。
途中で買い物できるところはなく、水分は道路沿いの施設の自販機で入手した。
入り口が分かればアプローチ至近で、ルートがまとまっている。
よく使われているようで、支点は悪くない。
小川エリアの「風のルンゼ5.10b」とスフィンクスエリアの「スフィンクス5.10a」だけ手を付けた。
いずれもOSでき、楽しめた。
ことに後者はかぶりが著しく、触ってみるまで5.10aと思えないが、やれば納得。
鎖が垂れていて安全にトライできる。
初日だからと早々と切り上げ、崎の湯で豪快な温泉に入り南方熊楠記念館や三段壁に行くなど、白浜の観光も堪能した。
この日は一棟借りの三段屋に泊まった。
翌日も天気下り気味。
とはいえ、降雪の北日本を思えば問題ないが。
見老津の岩場のアプローチはわかりやすいが、出だしが切り立っていて腰が引けた。
まずは行きやすそうな岩塔を目指した。
ちょっと迷ったが。
けっこう寒くて、小雨も舞い、気持ちもなえていたが、1本登る(ストーンオーシャン5.7NP)と元気もわいてきた。
終了点はハイマツのような樹高の低い木にくくりつけられたスリングだ。
少し回復した天気はごくまれに日差しもあった。
景観の良さと合わせて気分が上がる。
2本登って満足し、この後に岩場の偵察を敢行する。
42号線から白石明神に向かう道に入ってすぐに簡単に降りられる道を発見した。
わざわざ懸垂する必要などなさそうだ。
開拓者はこの道に気づかなかったのだろうか?
取付きには潮の高さの加減があると思われるが、わかっていればトライしたであろう。
見た感じ面白そうに思えたが、またの機会とした。
この日は「サンセットすさみ」に泊まる。
名前と違い、海辺にないためサンセットは見られない。
後でわかったことだが、かわりに飛行機から一帯が見えていた。
わずかしか登っていないのに、早くも疲れが出て、この日は観光レストとする。
まずは、怪しい山道を経ての古座町を目指す。
有名な地学上のスポットが多数ある地域だ。
地学的な興味もあるが、つい「これは登れるのか」という視点で見てしまう。
古座川沿いに海に再び出て、橋杭岩付近で昼食。
適当に入った人気のないカフェでラーメン食べてると、しゃべり好きな地元のおじさんから様々な講釈を聞く。
橋杭岩の中でも「拝み岩」がいいらしい。とりあえず見ておく。
紀伊大島のトルコ記念館と日米修好記念館、海金剛を見て回る。
なかなか興味深い場所であった。
そこからこの日の宿「みさきロッジ」に向かう。
本州最南端の地はそこからすぐ。
風呂に入っていたら窓から見えた美しいサンセットを見て、急ぎ部屋に戻り写真や動画を撮ったものだ。
翌日は大晦日であるが、そんな気分はさらさらなく、ただ強い寒気の流入による風や波が心配であった。
予定を変えて、見るだけぐらいのつもりで太地の岩場に行ってみた。
意外なまでにアプローチは容易で、相当の年月が経ったはずのボルトも健在であった。
目当てのルートだけを一本狙いで登り、大満足。
このルートはNPルートとすべきかもしれないが、東秀磯氏の手によるルートだけあってボルト間隔が適切で、内容が★★★なのが納得できる。
周辺の11aのルートもいくらか登りやすそうには見えたが、やめておいた。
パンをかじって、小狗子の岩場に向かう。
トンネル付近に停めるのにUターンが必要。
アプローチは釣師道があり順調だったが、潮が満ちておりなかなかのへつりが必要なことが分かり、翌日に期すことにした。
まだ時間がありそうだったので、新宮市まで足を延ばし神倉神社の有名なゴトビキ岩を見に行くこととした。
そこに至る石段のことなどまるで知らなかったので面食らったが、山登りと思えばどうということはない。
一般の観光の方たちはきつそうだった。
ゴトビキ岩から市街地とその先の海が見えたのが印象的だった。
この日と翌日は連泊で温泉民宿小阪屋に宿泊した。
思い切り合理化した、それでいてまずまずな食事を出すリーズナブルな宿だった。
新年改まった初登りは、昼過ぎまでしか潮が引いていない小狗子の岩場だ。
宇久井の大岩は、海沿いではないアプローチが険しそうだったのもあり止めにした。
始めにごく簡単な「ステップ8 5.3」でアップし、次に2Pのマルチとなるルートに取付いた。
適度に手ごたえあるが、グレードよりは易しく、年頭に気持ちよく登るには最適であった。
2Pで岩場の最上部に登り、懸垂した。
このエリアの終了点は高価な固定ビナのタイプが使われており、安心感があった。
ただ、2P目はぼろく、日本アルパインチックではあったが。
11aルートにもトライしたが、ちょっと厳しかった。
粘れば登れそうだったが。
昼過ぎ早々にお暇し、新宮市の熊野速玉大社に初詣とした。
さすがに人手があり、河原の臨時駐車場に停めたが、熊野川や新宮城跡など興味深い自然や史跡を目にできてよかった。
翌日は移動距離がそれなりにあり、熊野市から北上するにあたっては買い出し必須の場所だ。
梶賀トンネル付近の駐車スペースはすでに埋まり、軽だから停められるようなスペースに何とか停めた。
アプローチはよく整備されており、目印やFIXロープをたどれば迷わずたどり着ける様子だった。
ただし、岩場近くにはいくらかの核心ポイントがあるが。
ごあいさつで「アスペクト5.8NP」を登り、「梶賀トンネル」「ニモ」「ブルース」と立て続けに登った。
帰り際に「自力で安く登る海外の山 5.8NP」なるルートを登ったが、これは切った場所が違ったかもしれない。
この日の宿は、岩場から最も近い梶賀の民宿(勝三屋)であったので、いくらか遅くまでいても安心であった。
どの岩場にするか少し迷ったが、登りを優先と考えると梶賀の岩場がベターで、前日に登らなかったやさしめのボルトルートをトライすることにした。
評判通りのナイスルートで、気持ちよく海辺のクライミングを堪能できた。
「波乗りジョニー」はリーチがいるため、かみさんはFLできなかったが、スラブセクションも短くあり、海辺の花崗岩を味わえる良いルートであった。
早々にご無礼し、対岸にあたる三木崎海金剛に向かう。
駐車スペースから遊歩道まではよかったが、海岸近くからのアプローチはわかりにくく、地形を頼りに獣道様の道を木や岩を頼りにトラバースする。
空荷での偵察で岩場にはたどり着いたが、よし1本!という気が起こらず、釣師を見つけて海辺に降りてから遊歩道を登って戻った。
登り基調が多く、なかなか堪えるアプローチだと思った。
この後はツアー最終日のご褒美として「尾鷲シーサイドビュー」に泊まり、天然クエ尽くしの料理を堪能した。
最終日は登ることなく、観光・移動日とした。
熊野で大部分の荷物を送り、安いGS(周囲が170円台の中、152円)で給油し、一路熊野路を目指した。
熊野信仰についてをセンターでまとめて学習し、国道を南紀白浜方面へ。
時間がありそうだったので、ジオパークの有名なものとしてフェニックス褶曲を見に行くこととする。
アプローチはすぐわかったが、磯に出たところでボルダーの一行と出会う。
このあたりにはトポに出ているルートもあるが、未発表のルートも多数あるとのこと。
地球の営みの一端を目に焼き付け、南紀白浜空港を目指す。
フライトは18時過ぎで、もう夜であった。
羽田についてからの東京は身に染みる寒さではあったが、充実した南紀のクライミングツアーのことを思うと心も軽く家路につけた。